「エール」の特権にすがる広告
この記事は2020年5月に執筆した記事です。
最近、エール系の飯企画の違和感が半端ないな。
テイクアウトチラシが爆産され最近良く回ってくる応援系の企画。
私たち困ってますから、だから応援の意味で買ってくださいよ。ね?
って、
「ちょw」ってなる。
じゃあ、農家も
エールで野菜!頼む
建築業が
エールでハウス!お願いだから建てて!
etc..etc..
って言われたら全部応援できるだろうか。
無理だろう。
ぶっちゃけ、これまでコロナ関係なく倒れてきた企業たちも応援してもらいたかったはずだ。でも、その時我々は応援して助けを差し伸べたりしていないな…と冷静に思ってしまう。
もちろん知らなかったお店を知るきっかけにはなるかもしれない。一時的に店舗の売上に寄与できるならそれはそれで良いことかもしれない。
応援すること自体は全然否定も無いし、その企画にの乗る人の価値観も全然アリだと思うけど、露骨に「応援してください」をゴリ押しするこの企画の打ち出し方は広告に携わる人間としてはちょっとどうよ?と思ってしまう。
俯瞰すれば飲食業だけが「エール」の特権にあやかれるのも変だし、やはりそれをPRとして打ち出すことは長期的に見て悪手のように思える。
付き合いで何回かは買うかもしれないけど、それはある意味同調圧力でもあるし、応援は「同情」に近い性質を持つから、頼り切ってしまうと本来店舗が提供できる価値を自ら破壊しかねない。
こんな状況下で大変なのもわかるが、同情に似たこの企画は長続きしないだろうし、現状を変えるインパクトが無いことに誰もが気づいているはずだ。
一方でコロナを恒常的に捉えて新しい価値を開発しようとしている企業も増えてきた。こうしたポジティブな企業と成り行きをただ待つだけの企業との差は広がっていく一方なのだろうなと思う。
ちなみに、この手の応援企画は価値観が一気にチープに変わるから、私は私のお客さんには薦めることはしない。
むしろこんな状況だから、ちゃんと価値(新しい価値も含めて)を提供して勝負しましょうとブランドの未来を守るためのアイデアを一緒に考えれる相談相手でいたいと思う。
広告の現場では、こうした「企画」は別に新しくもないし珍しくもない。東日本大震災の時をはじめ、災害に合わせて必ず出てくる『恒例』でもある。
店舗や企業は本来「応援してください」などと恥を偲んで頼むようなブランディングはそうそうしないはずだし、あまりうまく行った試しがないよね。
(コロナ前では、いきなりステーキがそうだったような)
「とりあえず今が良ければ」な場当たり的な発想は、リーチ重視の地方メディアがよくとる手法で、「ブランドの未来」とは違う軸に在るもんである。
数字ほしさに安易に売り込む会社も割と多い。数字を埋めるため、相手の都合など知るよしも無い。それは搾取でしかない。(パートナーになる気がない前時代の俺様営業のスタイルと私は呼んでいる)
もう、昔から脈々と残ってきた「店舗依存主義」の時代は完全に変わると思う。
今後は、店舗に合わせてサービスを考えるのではなく、消費者が求めるサービスを起点に店舗の在るべき姿をつくるべきだと思う。店舗は主役じゃなく、リスクのある生活を支える「裏方」に徹したほうがいいかもしれない。
安全でリスクの低い日常を取り戻すことこそ、出るに出れない消費者が望んでいる未来(本音)だと思うし、それが価値あるニューノーマルだと思う。
広告に携わる人間も今こそ「頼れる裏方」に徹するべきだ。
ド派手なプロモーションを自慢する「オレオレ時代」にサヨナラして寄り添うパートナーになれないと広告の未来も無い気がする。
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